(*捏造が多々あります;*)








もはや君なしじゃ始まらない。          黒田 マサムネ














金髪の長い髪
清楚な笑顔
スタイルも悪くは無い



「どうかな、マスタング君。」
「……はぁ。」
ずらりと並べた写真を見せられて、ロイは綺麗に作った笑顔を向けた。
笑顔を向けた相手、ブラッドレイは更に作った笑顔を返している。
「どの娘も素晴らしい令嬢だよ。」
でなければ、持ってくるはずが無い、とロイは思った。
この凍ったような空間で、写真の中の令嬢達は笑みを浮かべている。
綺麗な娘達だ。
だが、それだけだ。
「どうして家庭を持とうとしない。」
「…私には、まだ早いと思います。」
「早かったら、私がわざわざ言うと思うかね?」
「……いえ………
 …もうこの話は、よいではないですか…。」
畳み掛けるブラッドレイに、ロイは無駄な抵抗とも言える言葉を吐いた。
権力も力も、口でだって彼には敵わないのだ。
抵抗しても結局は返されてしまう。
だが、抵抗しない訳にもいかなかった。

自分には、もう決めた人がいたから。

「心に決めた人がいる、と言わなければ
 この話は終らないよ、ロイ。」
鋭い。
全てを読まれてしまうから、仕方の無い事だけれど。
言えてしまったら、どんなに楽だろうか。
自分の恋人が同じ性だなんて。

「お前が言えないのならば、私が当ててあげようか。」

手招きをされ、恐々と近付くと指で下を指す。
跪け、と言っている。
指示通り跪き、顔を上げた。
冷たくもにこやかな表情のブラッドレイの指が首元を掠める。
ロイは、困ったように視線を泳がせた。

しゃら

小さな細かい金属が擦れる音がした。
彼が何を指にしたのか解り、瞳を閉じる。
ドッグタグと銀色のシンプルな指輪。
どこか不似合いな二つが細い鎖でロイの首を一回りして繋がっている。

「…ジャン・ハボック。」

ドッグタグにはそう刻まれている。
身に着けている本人とは違う名前。
それが何を意味するのかは一目瞭然だった。

「ロイ、私だけでなく妻までも悲しませてくれるな。」

目を開いて哀しそうに、でも真剣に答えた。

「……御父様。
 父、母を亡くし、当ても無い私を
 ここまで育てて下さった貴方、それと母様にはとても感謝しております。
 正しく、強く生きろと教わりました。」
「…これが正しいと思っているのかね?」


「はい、間違ったとは微塵も思いません。」


はっきりと揺ぎ無く答えた。
彼となら、一生を連れ添えられる。
きっと二度とそう思える相手はいない。
もう後悔はしたくなかった。

ブラッドレイは、困ったように一つ溜息を吐いた。
そして、ロイの頬を優しく撫でる。
慈しみと愛情が篭る指先。
「…よくわかった。
 ただね、ロイ、お願いがあるんだが…。」


「私と妻の為にも、式を挙げてくれないだろうか。」


一生周りには隠す事になるだろうと思ってた
二人の愛を誓う儀式を行って欲しいと義理父は言った。
形だけでもしっかりと息子を送りたいのだろう。
「大切なお前が幸せになるのなら、
 君の父君母君も喜んで送るだろう。」
「御父様…。」
反対される、引き離されるとばかり思っていたロイは
涙を浮かべ、嬉しそうに微笑んだ。








***










執務に差し支えるから、というのと、大きな声で言えないような結婚だから
山奥の小さな教会で夜、密かに挙げる事にした。
職場の人間とヒューズに告げると
流石、自分の信頼を置いている者達だ、各々の性格が出た反応を返された。
「そうですか、おめでとうございます。新居はどうされるのですか?」
リザは、ロイからたまに相談されていただけあって、驚きもしなかった。
「おー!ついに身を固めるのか、ロイ〜!おめでとう!
 わんこも、随分とやるもんだなぁ。お許しは出ないぞ、普通。
 で、で?いつ挙げるんだ、式は!」
ヒューズに至っては、想像出来たというか…。
「…ハボック、俺を越しやがって…!」
「えぇぇぇ!!!?」
「………。」
後の三人は、殆ど絶句だった。
誰一人、反対しない反応にくつくつとロイは笑った。
それから、今はリゼンブールに滞在しているエルリック兄弟にも手紙を送った。
エドワードもアルフォンスも、自分にとっては可愛い弟のようなものだ。
二人にも自分達の関係が知られているし、
ハボックは知らないだろうけど応援もしてくれた。
その二人にも祝って貰いたいのだ。
必ず来てくれると思う。

ロイの義理ではあるが両親の許可が降りても
ハボックの両親は、そう上手くはいかないだろうと思ったのに、

「うちの息子を、どうぞよろしくお願い致します…!」

と、頼まれてしまった。
「ジャンが幸せなら、選んだ人なら。」
息子の幸せを一番に考えて、信じているから出てくる言葉だろう。
必要以上に親が口を出す事はしない、傷付いて帰って来れば
温かく迎えて、前へ進めるように背中を叩く、
頭の柔らかい御両親なのだ。

一度挨拶に向かった時、
御義理母様は、どこからか白いドレスを持ってきてはロイに当てたりした。
「あら、ロイさん小柄だから大丈夫かと思ったけど
 やっぱりダメねぇ、残念。」
「か、母さん、ロイさんは男の人なんだから…!」
「だって、こんなに美人なのに、勿体無い。」
「そうだ、ジャン。こんな別嬪さんを嫁に貰うんだぞ。
 お前には、ほんと勿体ねぇったらありゃしねぇ。」
絵に描いたような親子の会話にロイは小さく笑った。
「いいえ、御義理父様、彼はとても優秀な人です。
 こちらこそ”私には勿体無い”と思いますよ。
 それと御義理母様、御期待に添えられなくて申し訳ないです。」
完璧な笑顔でそう答えれば、両親は感動に震えた。
ハボックと歳が近そうな弟や随分と離れた小さな妹など…
大家族の了承を得た。
ハボックの家族は、皆温かくて、普通は殴られるような事態なのに
「ジャンが幸せなら」
と、あっさりと微笑んだ。
ここで育ったからこそ、ハボックは”温かい”のだろう。
”温かい”彼が好き。
だから、人間が苦手だったロイなのに彼の家族は特別になった。









「…ロイさん、疲れた?」
ベッドに横たわり眠る準備をしていたロイの横に滑り込んだハボックは伺った。
ロイは、向かい合うように身体の向きを変える。
「いや、楽しかったよ。」
「これはこれは、ご機嫌麗しゅうようで。」
何かを思い出して笑うロイにつられて微笑む。
「姉君、妹君は可愛い子達が一杯だしね。」
ハボックには、姉が二人、小さい妹が一人いる。
姉達は二人とも結婚していて
「旦那より、ロイさんの方が素敵だわぁ!」
と大騒ぎで、
小さい妹はロイが”偉い人”だという話を聞かされていて
偉い=頭がいい、と純粋に思い
「ロイお兄ちゃん、ご本読んで!」
と可愛らしい絵本を差し出してくる。
「眠るまで本を読んであげるなんて、
 私には一生出来ないと思っていたから…楽しかったよ。」
「……ロイさん。」
少し、切ない顔をしたハボックにまた楽しそうに微笑む。
後悔はしていないよ、と言うように。
「あと、弟君達も。」
「あ〜…あの時は、すみません…。」
女の兄弟だけでなく、彼には
歳の近そうな弟(実は19歳だった)と、今年で15歳になった弟の二人がいる。
15歳の弟は、どことなくアルフォンスに似ていて(所謂、可愛い部類になる)
19歳の弟は、やはりエドワードに似ていた。
何が似ているというのは、歳相応に見えない態度が大部分だった。
大分、大人びているのだ。
ハボックの事は「ジャン」と呼び、
他の兄弟よりずば抜けてハボックに懐いている。

『こんな美人、ジャンには勿体無ェし。
 喧嘩したらいつでも俺が慰めてやるよ。』

見た目もなんとなくハボックに似ているのに。
「いい、気にするな。私の可愛い弟君だ。」
「…つぅか、俺はあいつにあんたを取られないか心配なんだけどなぁ。」
のんびりと答えたロイに、溜息を吐きながらハボックは後頭部を掻いた。
「何、そんなにやり手なのか?」
「……楽しそうに答えんで下さい…。
 結構もてるみたいなんですよ。」
「ふぅん、今度一緒に街にでも遊びに誘おうか。」
「ちょ、ちょっと!ロイさんは、これから俺の伴侶になるんでしょ?!
 何いきなり浮気発言してんスか!」
わぁぁん、と泣くフリをしながらロイに抱きつく。
「私が街の女性と遊ぶのが?それとも弟君と?
 随分と信用されてないんだな、私は。」
悠然とした笑みで返されて、ハボックは泣くフリをピタリと止めて
抱きついた腕の力を強めた。
「意地悪ですねぇ、ほんと。」
「そんな意地悪な伴侶は、もういらない?」

「まさか。」

ピロートークのように優しい声で笑って答える彼に
また微笑んで頬にキスを送る。









***









「……まさか、ハボック少尉と大佐が付き合っていたなんて知らなかったですよ、僕。」

小さな教会の中、質素だがセンスや作りが良い。
一番綺麗なのが、正面を飾るステンドグラスだった。
月の光に照らされて浮かび上がる色は淡く美しい。
美しい光は夫婦が歩む道を照らしていた。
その脇に並んでいる椅子に座り、フュリーはそう零した。
「…いや、俺は知ってたけど。」
「…私も。」
ブレダとファルマンは、今更、と答えた。
「えぇー!ぼ、僕だけですか、知らなかったの!」
「知ってる方が少ないからな。
 あいつ、隠すのに必死だったし。」
「…え?」
「”バレたら大佐に迷惑が掛かるから”って。
 そりゃそーだろよ。
 ”男と付き合ってる”
 なんて、大佐を良く思わない人間にとって
 こんなオイシイネタは無いだろうしな。」
ブレダに知られたのだって、本当に偶然で。
ハボックは何度も何度も謝りながら”隠す”ように頼んだ。
『自分のせいであの人を傷付けたくは無い』と。
ブレダは、そこで
『あぁ、本気なんだなぁ』
と、長年共にいた親友の願いを呑もうと思った。
まぁ、元から悪いようにしようとは思わなかったけど。
「…ちょっと、羨ましいと思った。」
「え、ブレダ少尉は大佐の事が…?!」
「違う!そこまで本気になれる相手がいて、だ!」
また一歩強くなる親友が羨ましいのだ。

「…まぁ、あの幸せそうな顔…確かに羨ましいですよね。」













「ローイ!」
彼女にとっては大きいサイズの白い兎のぬいぐるみを持って
駆け寄るエリシアを抱き上げた。
きゃあ、と嬉しそうにぬいぐるみごとロイに抱きついた。
「やぁ、エリシア。
 また少し大きくなったかな?」
「だっろー?
 また一歩可愛く育ってるんだよなぁ!」
優しくエリシアの頭を撫でるとヒューズがまた娘自慢の言葉をかけた。
それに続き、エリシアの母、グレイシアが優しく笑う。
「ロイさん
 今日は私達も招いて下さって、ありがとうございます。」
ゆっくりと柔らかい口調で挨拶をする彼女に
ロイは嬉しそうに微笑んだ。
夫の親友が、男と結婚式を挙げる。
普通は気持ち悪いと思うだろうに、彼女は嫌悪の欠片も見せない。
グレイシアはそれだけ包容力のある女性なのだろう。
「来てくれてありがとう。
 こんな山奥、大変だったろう?」
「いいえ、エリシアも私もこんなに綺麗な場所に来られて喜んでいるのよ。
 ね、エリシア?」
うん!と元気に返事をするエリシアを、今度はヒューズが優しく抱き上げる。

「…お前が幸せになれて、俺達は本当に嬉しいよ、ロイ。」

「…ヒューズ。」
「ハボック少尉なら、お前を大事にしてくれると思うし申し分ない。
 けど、もし喧嘩したなら、うちに来い。
 愚痴聞きながらチェスをして酒でも飲もう。」
「じゃあ、私は美味しい料理を作るわね。」
優しい優しい二人の言葉。
いつでも自分を向かえ入れてくれる。
自分も彼らのような優しくて温かい二人になりたい、と願う。











***












教会の門でハボックはうろうろと歩いていた。
人が来るには、そこしかない道をそわそわと見つめながら。
家族も揃って来ているし、ロイの部下達も揃った。
けど、また来ていない人がいる。
あの二人がいないとロイが寂しがるのだ。


「おーい!」


小さな声が聞こえ
そちらを見ると、金髪の髪が二人見えた。
「エド、アル!」
「ごめん!途中で車が故障して、錬金術で直したんだけど…。」
「結局ダメになって…挙句に道に迷うし…。
 遅れてごめんなさい…ハボック少尉。」
それでも走って来たのだろう。
上着を抱えて、息は上がり額には汗が浮いている。
それだけでも、来てくれた事が嬉しかった。
「大変だったなぁ、大丈夫
 まだ始まってないから。」
「あぁ、ほんと?良かった…。」
上がった息を整えながら、汗を拭う二人。
「ありがとう、来てくれて。」
「いやぁ、だって、俺達も凄ェ嬉しいし。
 くっついて良かった…ってあの時も思ったしなぁ」
「に、兄さん!」
アルフォンスが兄の袖を引っ張った。
何か言ってはいけない事を言ったみたいに。
拭った汗が違う意味の汗で再び額を濡らした。
「…さ、中に入ろうか、アル。」
「待て、
 何”あの時も”って?」
ハボックはこういう時、途轍もなく鋭い。
普通の人だったら聞き流してしまうだろう言葉も拾い上げる。
だから、アルフォンスは兄に制止を求めたのだ。
「……本当は、口止めされてたんだけど…いいか、夫婦になるんだし。」

「ハボック少尉。大佐に告白したのはいつ頃だ?」

「は?」
突然の話に驚いて固まる。
「俺、それより前から大佐が少尉の事好きって知ってたから。」
「え、え?」
「何度か協力した事あるし。なぁ、アル?」
「少尉の好きなタイプとか、好きな食べ物とか、付き合ってる人はいるか、とか。」
「え、ちょっと…?」
他にはー、と色々と話してくれた。
どれも子供のような話で、確かに身に覚えがある事ばかりだった。
初めて一緒に外で食事をした時に、どれも自分の好みの料理ばかりで
合わせてくれている、自分の好みがわかるなんて凄い、と嬉しくなったものだ。
「ありがとう、二人共。
 すっげぇ嬉しいよ、それ。」
また一つあの人の可愛い一面が見れてしまった。
付き合い始めた当初は、自分ばっかりがロイの事を好きで
同情で付き合ってくれたんだなぁ、と思っていたのに。
そうではなかった事実に嬉しさが込み上げた。
「さぁ、もう始まるから中に入ろう。」













教会の二階に小さな部屋があり、そこをロイの控え室に設けられていた。
ノックが数回されて、扉が開かれた。
「大佐、入ります。」
派手ではない濃い紫のドレスを纏ったリザが入って来た。
ロイはそちらを向いて、微笑んだ。
「中尉、綺麗だね。
 髪の毛も下ろした方が良いじゃないか。」
「そうですか、ありがとうございます。
 その調子で明日から女性を口説いてはいけませんよ。」
溜息を吐きつつ、リザはロイに近付いた。
「どうして。」
「ハボック少尉が煩いのです。
 ”大佐が綺麗な女性と歩いてた”とか
 ”やっぱり自分は…”とか。」
ロイは、はたりと目を見開いて驚いた。
ハボックが、何て?
「”やっぱり自分は…”の続きは?」

「”自分は、大佐のお荷物なんじゃないだろうか”です。」

ロイがいくら女遊びをしても、彼は何も言わなかった。
久し振りに二人っきりで会えた時に、何も問わずに優しくロイを抱き締める。
一度だけそれでぶつかった事があった。
たぶん、それだ。
それから、二人は指輪を共有して今に至るのだった。
リザには洩らしてしまうくらい切羽詰まっていたのだろう。
「私は、痴話喧嘩を聞くのは嫌です。」
「…うん。」
「聞くのなら、幸せな報告の方が良いです。
 中てられるのも…程ほどにして頂きたいですが。」
「……うん。」

「どうか、幸せに…ロイさん。」

仕事では見せない、プライベートでの名前の呼び方、
それと、綺麗に微笑んだ。
「ありがとう、リザ。
 幸せそうじゃなかったら、ジャンを叱ってくれたまえよ。」
「じゃあ、少尉が幸せそうじゃなかったら、ロイさんを叱らなきゃダメね。」
ふふふ、と笑いながら、何かに気付いたように
あ、と腕に付けた時計を見た。
「そろそろ時間ですね。私は、下に行って待ってますから。」
「わかった。」



程なくして、再びノックの音が聞こえた。
「入るよ、ロイ。」
「はい、御父様。」
入って来たブラッドレイに、立ち上がって迎える。
ブラッドレイは、感嘆とした声を出した。
「ほぉ、良かった。いい男じゃないか。」
「はい、御父様の礼服、多少の直しをしただけで立派に着れました。
 シックでとても素晴らしいです。」
昔、ブラッドレイが妻と式を挙げた時に着た物だと言っていた。
黒と灰色で、生地は上等のものを使っている。
一目で高価なものだと判るくらいに。
「私が君にしてやれた事なんて、数少ない。
 それでも、大事な息子を送らせてくれるかね?」
「いいえ、御父様。貴方には返しきれない恩があります。
 今まで、ありがとうございました…
 それと、これからも貴方の息子としてお願い致します。」
頭を下げて、挨拶をするロイの肩を軽く叩いて撫でる。
「いつまでも自慢の息子でいてくれたまえ、ロイ。」
「はい。」
「じゃあ、行こうか。
 彼と、皆が待っている。」
腕を出されてそれに掴まる。
花嫁がするそれを、自分がするとは思わなかった。









***










二階から、綺麗なカーブをした階段を下りると
バージンロードの最初の位置に着いた。
その赤い絨毯の脇に皆が静かに着席していて
ゆっくりと歩くブラッドレイに付き、そこを歩く。
月明かりと小さな蝋燭だけが灯る道を。
十字架の下に、金髪の彼が待っている。
嬉しそうに微笑んで。
その奥に神父はいない。
禁忌を犯している式なのだ、仕方がない。
それでも、ロイは後悔をしていない。
純粋に彼を愛し、結ばれたかったから。
歩いている途中、参列してくれた人達を見ると
皆笑顔で自分を見送ってくれている。
その中に金髪の二人の子供がいた。
手を振って笑顔で迎えてくれて、参列してくれた事に嬉しさを感じた。

彼の元に着くと、ハボックは手を差し伸べた。
ブラッドレイは一歩下がって、彼の元へ行くように促す。
その手をとって、彼の隣へ行く。
温かくて大好きな彼の隣に。
「今日は一段と男前ですね、ロイさん。」
こそりと囁いたハボックに、悠然と微笑んでみせた。
「当たり前だよ、ジャン。
 お前こそ今日は男が上がったな。
 流石、私の夫だ。」
ひそひそと囁きあう二人の前にブラッドレイが立つ。
「神父がいないからね、私が代わりを勤めよう。」
こほんと咳払いを一つ。
「ロイ。
 これから先、彼を愛す代わりに
 色々な場面で辛い思いをすると思うが、
 それでも愛し続けると誓えるかな?」
「はい。」
「ジャン・ハボック君。
 辛い立場になったロイを守って支えてやれると誓えるかな?」
「はい。」
「どうか、どうか、永久の幸せを
 私の大事な息子達よ。」
壇上に置いてある、絹で出来た布を差し出した。
布の上には、シンプルな銀の指輪が二つ、並んであった。
その一つ、どちらかと言うと小さい方をハボックが取り、
ロイの左手の薬指にはめた。
月明かりが指輪を照らして鈍く光を放つ。
その光がとても優しくて。
もう一つの指輪を取ったロイが、彼の指にはめる。
その手を握り返したハボックはロイの指輪にも唇を付け
そして、少し屈みロイの唇に口吻ける。
軽く触れたようなそれは、とても神聖なもので
禁忌を犯した式とは思えないようだった。

「大佐、少尉、おめでとう!」

エドワードが拍手を送る。
アルフォンスも拍手をして、エリシアも小さな手を叩いて拍手をした。
それに釣られるように、皆立ち上がって拍手を送った。
「おめでとう、ロイ!」
「大佐、少尉、お幸せに!」
「ハボック、おめでとう!大佐、どうぞお幸せに!」
「ジャン、おめでとう!」
様々な言葉と拍手の一つに青白い光が二つ走って、
教会の中にふわふわと白い物が舞い始めた。
「……雪…?」
「いや、花びらだ…あいつら…。」
嬉しそうに笑ったロイの頬に口吻けて、ハボックも笑う。
その背中を後ろから優しく押され、振り返ると
ブラッドレイが微笑んでいた。
「ハボック君、うちのロイをよろしく頼むよ。」
「はい。」
「不幸にしたら許さないからね。」
「…は、はい!」
ブラッドレイに少し黒い物が見えて、肝を冷やしつつ誓いを立てた。

「ロイさんは、俺が幸せにします。」

「お、聞いたぞ、ジャン。
 その誓い、破るなよ?」
「ロイさんこそ、俺を幸せにしてくださいよ?」

「勿論だとも。」





二人で
幸せな、これからを。




























あべねこさんへ。

11112キリリク、ありがとうございました!
「ハボとロイ(男で)が結婚をする話」
で、細かい設定まで頂いたのに…ご期待に添えられたかどうか…!
ハボロイで結婚のお話は、頭でぼんやりと考えていたので
私的には、こうなりましたが……どうでしょうか…
有り…でしょうか…。
更に、捏造が多々あり申し訳ありませんでした;(多々というか全体的に…)
ハボには是非、「エド、アル」と名前で呼んで欲しくて…
それと、趣味で(…)アルは鎧ではないです…。

良ければ、お受け取り下さいませ〜!

これからもどうぞ、”独眼狗。”をよろしくお願い致します。





2005.12.18

黒田 マサムネ
























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